認知の方法
任意認知
任意認知は、父親が役場で手続をするだけで可能です。
ただ、完全に任意であるため、男性側に認知する義務はありません。特に、胎児の段階では、強制認知手続は取れないため、任意認知を求めるしかありません。
弁護士を付けて任意認知を求めることで、認知から逃れられないということを男性側に理解させれば、出産前でも、任意認知に応じさせることが可能になります。
また、出産後でも、強制認知手続には時間と費用がかかるため、可能な限り、交渉で任意認知を求めていきます。
認知調停
任意認知に応じない場合には、家庭裁判所に認知調停を起こす必要があります。調停前置主義(家事257条)なので、まず調停を起こさなければ、認知の訴え(認知訴訟)を起こすことはできません。
調停は、原則として話合いですが、裁判所が選任した調停委員が間に入りますので、男性側を説得してもらえる可能性があります。
男性側がDNA鑑定を希望する場合、積極的に協力した方が良いでしょう。DNA鑑定を希望するということは、鑑定の結果、親子であることが判明すれば、任意認知に応じるつもりである可能性が高いからです。DNAの採取には、男性側の協力も必要になるため、むしろ、DNA鑑定を拒否される方が面倒ということができます。
DNA鑑定により、親子関係が認められれば、たとえ任意認知を拒否したとしても、強制認知が認められるので、任意認知に応じる場合が大半です。
認知の訴え(強制認知訴訟)
認知調停によっても、男性側が任意認知に応じなかった場合(男性側が調停を無視した場合を含む)、認知の訴え(強制認知訴訟)を起こす必要があります。
認知の訴えで父子関係を証明するには、やはりDNA鑑定が基本です。
男性がDNA鑑定に応じない場合はどうなるか?
DNA鑑定は、口腔内粘膜から綿棒で細胞を採取して行いますので、男性が拒否する場合、強制することはできません。
しかし、DNA鑑定を拒否する態度自体が、自身が父親であることに心当たりがあると自白しているようなものですので、裁判所も、この点は十分考慮してくれます。
ただ、DNA鑑定を拒否したということだけで、父親と認定するところまでは難しい場合もあるので、ある程度の裏付けも用意しておく必要があります。
一般的には、次のような周辺事情(間接事実)によって、裏付けを行います。
- 母が妊娠可能期間中に男性側と性交渉をもったこと
- 子が男性側と血液型の矛盾がないこと
- 母が妊娠可能期間中に他の男性と性交渉をもっていないこと(男性側が立証できないこと)
- 男性側が、自身が父親であることを前提とする言動をしていたこと
DNA鑑定について
鑑定費用は業者によりますが、法的鑑定(裁判所で証拠として使用することができる鑑定)で、10万円程度です。
鑑定費用は、双方の同意があれば、折半にすることができます。
認知調停や認知訴訟を起こした場合には、通常、鑑定業者は裁判所が選定することになります。
認知後の養育費請求
認知によって、はじめて、父と子の間に法律上の親子関係が発生します。
したがって、養育費を請求することができるのは認知後です。
ただし、出産後、直ちに、認知を求めること、養育費を請求することを、内容証明などで証拠に残しておけば、認知が実現した後、出産時に遡って、養育費が認められる場合があります。
養育費の金額の決め方は、養育費算定表にしたがって、双方の収入によって決まります。
弁護士費用
- 着手金
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任意認知交渉 22万円
認知調停 33万円(交渉ご依頼後、調停に移行する場合は、差額11万円のみ)
- 報酬金
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調停前の任意認知 22万円
調停後の認知(任意認知・合意に相当する審判・強制認知) 33万円
※養育費については、別途成功報酬が発生します。